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MTBIとは

MTBIとは「Mild Traumatic Brain Injury」の略名であり、正式な和名はありません。その為、日本の医師によって「軽度外傷性脳損傷、軽症外傷性脳損傷、軽症頭部外傷」など様々な呼ばれ方がされており、海外では「脳震盪(Concussion)・脳震盪後症候群」等も含めてMTBIという疾病とされております。


なぜ正式な和名がないかというと、日本ではMTBIそのものを認めていないからなのです。代表的な理由として脳の損傷がレントゲンに映らないなどが挙げられます。ですから、MTBIという病気になっても、社会保障を受けることができないのです。


我々、MTBI仲間の会の活動理念として、日本国においてMTBIを認めていただき、充実した社会保障を受けれる国となっていただくため、様々な活動を続けています。


定 義

※ 以下の文章は、ACRM(アメリカ・リハビリテーション医学協会)による見解(日本語訳)

軽度外傷性脳損傷を伴う患者とは、少なくとも下記症状の一つによって表される、外傷により誘発された脳機能の生理的障害を呈した患者である。


  1. 期間を問わない意識障害
  2. 受傷直前または直後の事象に関する記憶の喪失
  3. 受傷時のあらゆる精神状態の変化(例、ぼんやりする、失見当識・混迷)
  4. 一過性または持続性の局所神経学的障害

しかし損傷の重症度は以下を越えない。


  • 約30分以内の意識消失
  • 30分後の初回 glasgow coma scale(gcs)が13~15
  • 受傷時のあらゆる精神状態の変化(例、ぼんやりする、失見当識・混迷)
  • 24時間以下の外傷後健忘症(PTA)

解 説

この定義には、1.頭部打撲、2.物体の頭部衝突、3.頭部への直撃外傷を伴わない加速・減速運動が脳に働いた場合(例えば、頚部外傷性症候群=むち打ちなど)が含まれるが、脳卒中、無酸素状態、腫瘍、脳炎などは除外する。


コンピューター断層撮影、核磁気共鳴画像、脳波、またはルーティンの神経学的評価が正常な場合もある。


医療上緊急性を欠くため、または一部の医療システムにおける現実性のため、急性期に上記の要因が医療的に記録されていない患者もいる。その様な患者では、頭部外傷に関連づける際に軽度外傷性脳損傷の存在も示唆しうる症状を考慮することが適切である。


症 状

上記の基準では、軽度外傷性脳損傷の事象を定義している。 これらの神経学的事象の後に、脳損傷の症状が持続する場合または持続しない場合があり、その期間は様々である。軽度外傷性脳損傷患者には、情緒、認知、行 動、および身体的症状が単独または複数出現し、それらが機能障害をもたらす可能性を認識する必要がある。これらの症状は、一般的に以下のカテゴリーの一つに分類され、軽度外傷性脳損傷発症の付加的なエビデンスとなる。


  1. 抹消性外傷または他の原因で説明できない脳損傷の身体的症状(例、悪心、嘔吐、めまい、頭痛、視力障害、睡眠障害、易疲労性、無気力、他の感覚喪失)
  2. 感情状態または他の原因で完全に説明できない認知障害(例、注意力、集中力、知覚、記憶、言語、または実行機能の障害)
  3. 身体的ストレスや情緒的ストレスに対する心理的反応または他の原因で説明できない行動の変化、感情応答性の変化(例、易興奮性、怒りやすさ、脱抑制、または情緒不安定)

解 説

一部の患者は、正常機能の回復を試みるまで自身の症状に気づかない、または認めない事もある。そのような場合は、軽度外傷性脳損傷のエビデンスを再構築しなければならない。


軽度外傷性脳損傷はまた、より顕著な身体的損傷(例えば、整形外科的または脊髄損傷)に直面して見過ごされることもある。


一連の症状は、かつては、軽微な頭部外傷、脳震盪後症候群、外傷性頭部症候群、外傷性頭痛、脳損傷後症候群、および外傷後症候群と言及されていた。


尚、この文章はACRMを翻訳解説してあるものをそのまま掲載させて頂いており、難しい表記があります。申し訳ございませんが、分かりにくい語彙つきましては、お調べ下さい。また、ご質問くだされば、お答えできうる限りお答えいたします。

MTBIの症状

MTBIでは様々な症状が現れます。それゆえ、何がなんだか分からなくなります。いったい何なのか? MRI,CTに写っていないのにこの症状が起こるわけが無い。だから、心因性、不定愁訴、詐病となるわけです。しかし、そうではありません。確実に症状が発症します。脳損傷が起こっているわけですから、個人差があるので出る人出無い人がいますが、その全体像を分かってもらうために全て記述してみます。

各種発作欠伸発作、脱力発作、精神運動発作、てんかん発作、その他
脳神経麻痺味覚・臭覚障害、※視野狭窄、眼球運動障害、咀嚼障害、開口障害、※難聴、※耳鳴り、平衡感覚障害、嚥下障害
運動・知覚麻痺片麻痺、単麻痺、四肢(不全)麻痺
小脳症状小脳運動失調、筋緊張低下
自律神経障害発汗異常、洞性頻脈
神経因性膀胱等頻尿、残尿感、切迫排尿、尿失禁、便失禁
求心路遮断通永続する四肢の疼痛
高次脳機能障害認知機能障害(注意・記憶・遂行機能等の障害)、人格機能障害(易怒性・感情易怒・アパシー等)

※以外は全て脳外傷の特徴所見であり、頚椎由来の神経症状では医学上の説明がつかない。尚、前述症状は、受傷後直ちに発症することはなく、数ヶ月ないし半年の間に顕現する。


以上のことから、多岐にわたる症状に当てはまり、これがそうなの??そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。是非、MTBI仲間の会までご連絡してください。お力になれると思います。

MTBIに伴う発症事例

ある、お子様の事例です。


学校で体育中、バスケットの授業でした。その授業中、たまたまボールが当たり体育館の床に頭部から転倒し、その時は大丈夫だと、そのまま時間を過ごしました。


2~3ヶ月風邪も流行っていたので、少し休みがちでした。3ヵ月後から、起きて学校に行かなくなりました。自室で寝込むようになりました。親としては、「さっさと行きなさい」その口論が絶えませんでした。


あまりにも休むので、近くの内科医に行き、MRIを撮りに行きましたが異常なしでした。お漏らしなどしたことが無いのに、恥ずかしげにその子は言ったそうです。その後、母は小児科、内科、脳神経外科と周り、精神科を紹介されたそうです。


母のショックは大きかったようですが、変わっていくわが子を見守ることしか出来なかったそうです。


そんな矢先、私が開いていたネットにたどり着き、軽度外傷性脳損傷の可能性を知り、検査を受けました。その結果、軽度外傷性脳損傷という病名がつき、詳しく検査を受けておられます。


MTBIには、高次脳機能障害を伴うことがあります。残念ながら、脳の損傷は回復する事ができません。


さて、どうすればいいか??


それは、ほぼ使われていない脳の訓練により、新しい脳のバイパスを作ることです。それにより、様々な機能の回復が出来うることが可能です。だからこそ、その訓練機関や、職として、受け入れてくれる機関が必要なのです!!


現時点で、高次脳機能障害では、様々な症状がありますが、得手不得手があります。それは、千差万別です。その中での、単純作業での雇用や、社会復帰の道筋を立てていただける。それが、必要ではないのでしょうか??


現在、高次脳機能障害は精神疾患として精神障害者手帳が交付されます。しかし、これは、脳の損傷なのであって、精神疾患なのでしょうか??ここにも、医学的にも、社会的にも、矛盾を感じます。


医師の認知、救命救助社会、高齢化社会、今後の障害に対する社会での対応。


現在の公務員の数を減らす!就業可能な身障者でも(低賃金でも社会への道)簡易な作業なら出来ます。しかし、まだまだ社会には受け入れを拒まれている現状があります。何故か?


それは、高次脳機能障害という病名を持っているのがほとんどです。


  • 記憶障害(新しい記憶を覚えられない)名前を聞いても忘れる
  • 注意機能障害(一つの事に没頭し周りの騒音などで集中できない、又は前の動作に戻れない)
  • 遂行機能障害(行動を計画立てて作業が出来ない)

一例です

家族の人格の変化に付いていけない、寝込む、怠ける、意味がわからない、しんどい、迷惑。


  • 作業に、取り組むが、周りの騒音で続けることが出来ない。
  • 一度に二つの作業を言われたら、どちらか迷い行動できない。
  • 自分の過去を何回も話すが、話したことを忘れ、また話す。
  • 自己管理がしにくい、又は出来ない。
  • 手帳リマインダー等で細かく管理している。
  • 復職するが、過去の所属部位には戻れない。
  • 数ヵ月後には、解雇通告が出される。
  • 再就職の当てが無い。
  • 後遺症認定がされない場合、路頭に迷う。
  • 離婚率が増大。
  • 金銭的に限界がおとずれる。

そんな場合が多いのが現状であります。

MTBIとなる原因

ある日、家族の誰かに原因不明の調べても見つからない症状に出会ったら?? 貴方なら、解決に向けて正しい道を見つけられるだろうか??


欧米では、糖尿病患者と同じ数に匹敵するだけのMTBIに伴う患者が発生しているのが現状です。しかし、何故だか、日本ではその患者の数は少ない。何故でしょうか??それは、認知の違いです。


日本では残念ながら、古くから、自動車事故での、当たり屋と言うのが存在しております。わざと車にぶつかり、軽症なのに、重症だと主張し、治療費や高額の慰謝料を請求する現状があります。誠に残念なことです。


それにより、事故で首が少し痛い、腰が少し痛いなど等の訴えは、見過ごされやすく、シップだけの処方、または、電気治療に通ってみたら?など、病名は頚椎捻 挫、腰椎捻挫等と軽く見られて、頚部外傷性症候群(むち打ち)は軽症に軽視されやすく、詳しく診ていただけてないのが現状であります。しかし、その時点で2週間ほどの安静と、ビタミン等の点滴で、MTBIの症状は軽く、又は無く済むのです。


しかし現在、医師の中でもその術を知らない、浸透していないのが現状です。


MTBIはどう言う原因で起こるのか?

  1. 交通事故での追突が多く、その他でも発生します。
  2. ゆさぶりっ子症候群でも発生します。
  3. ホットショット(ラグビー競技等での強い衝撃でも発生します。)
  4. 小学生など、顔面などにボールがあたる衝撃でも発生します。
  5. 階段の転落事故でも発生します。
  6. 自宅での転倒でも発生します。

頭部外傷の定義

  1. GCSやJCSでの意識障害の程度と時間
  2. MRI画像の異常所見の有無
  3. CT画像の異常所見の有無

それが現代では優先される定義であります。


MTBIの定義

受傷後GCSで14点?15点の意識障害があったことや外傷後健忘があったことと定義されるのが国際基準での相場です。またMRI、CTには損傷は写らない(細かい損傷なので写らない)


MTBIの予後

受傷者の9割は半年ないし1年で治癒するが、残りの1割が重篤な後遺障害が残るとされています。不幸にして、後遺障害が残った方の残存症状は多種多様ですが、私の症状が典型例とされていますので、以下に紹介します。


最初に悩みだすのが軽快しない頑固な痛みです。それから、脳が常につながらない信号を送り出し、上手く行かず常に疲労感を増し、疲れることが多く、寝こむ事が多くなる。風邪でもないのに、頭部、頚部を冷やす事で軽減する傾向が多いようです。


この頃になり、家族が、怠けものと思うのではないのでしょうか??実際、本人は怠けているのではなく、動けないのです。


私事ではありますが、その頃は仕事をしておりました。飲食業で、新規店舗を立ち上げる仕事に従事しておりました。痛みは、大量の鎮痛剤で乗り切り、何とか、責任を果たしました。


怠け者と言われている時間に入ると、めまい、耳鳴り、自律神経失調で体温の保持が難しい状態、その様な状況が訪れます。その他に、頻尿、尿漏れ、失禁なども起こります。


その後、突然めまいで倒れて救急搬送、原因不明、心因性=精神科へ。傷み部分のリハビリ、その部分の拘縮なども起こります。


痛みは、ペインクリニックへ、拘縮の緩和の為には、リハビリへ、精神状態の悪化のため、心療内科へ、しかし改善へは向かいません。年月ばかりが過ぎ去ります。


交通事故の場合は、任意保険会社が打ち切りを、労災の場合はもっと早急に打ち切りへ。しかし、打ち切りを迫られます。しかし何も治っている状況ではない!前の自分さえ見失い、何も出来ない!解雇通知を受け取るしかない。保障は何処へ??治療も出来ない、お金も無い、出来る自分の体も無い。治る事さえ出来ない。『あの時じぶんが死ねば良かった』それが被害者の声です。


救急救命が整っている現代、損傷を追っても助かる率が多いのは素晴らしい事だと思います。しかし、その先はどうすれば良いのでしょうか??


どう生きれば良いのでしょうか??

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